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【仏教の新聞記事 • 日語版】

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世界最古「大乗経典」発見 成立当初のガンダーラ語

【産経新聞】 2007年1月13日,土曜日

見つかった最古の大乗教典の賢劫経。左上に「六波羅蜜」とある(松田和信・佛教大教授提供)

アフガニスタン・バーミヤン渓谷(バーミヤン州)の石窟寺院跡から1990年代に見つかったとされる仏教経典の写本の中に、2~3世紀 に書写された 賢劫経(けんごうきょう)と呼ばれる大乗仏教の経典のひとつがあることが、佛教大学(京都市)の松田和信教授(仏教学)の調査で分かった。大乗仏教は中央 アジアを経由し中国や日本などに伝わった仏教で、中国・新疆ウイグル自治区のホータン近くの仏教遺跡からは5~6世紀の写本が発見されているが、今回の写 本はこれより約300年古く世界最古。大乗仏教の成立などを研究する貴重な資料という。

見つかった賢劫経の写本はヤシの葉に書かれた断片計約30点。大きいものは長さ約10センチ。現在は使われていないガンダーラ語で、古 代インドのカローシュティー文字を使って書かれていた。詳しい分析は行われていないものの、経典の後半部分などが残っているとみられる。

大乗仏教は、修行を積めば釈迦と同じ悟りを開くことができると考える新しい仏教。釈迦の死後、紀元1世紀ごろにインドで起こり、数多く の経典がつくられて中国や朝鮮、日本、チベットなどに伝わった。

賢劫経は、6世紀ごろ西晋(中国)の僧によって漢訳されたとされ、漢訳は全8巻。「1つの時代には1人のブッダが現れ、計1000人の ブッダが出現 する」と説き、六波羅蜜(ろくはらみつ)(仏教における6つの修行)についても詳しく説明している。見つかった賢劫経では六波羅蜜の文字が複数確認され た。

カニシカ王を輩出し、北インドを中心に栄えたクシャーナ朝(1~3世紀)は仏教を保護、ガンダーラでは仏教文化が開花した。バーミヤン でもこの時期、多くの寺院がつくられ、今回、見つかった写本もこの時期に書写されたようだ。

しかし、インドではヒンズー教の普及などで仏教は廃れた。賢劫経を含め、どれぐらいの経典がどのように誕生し、当初の経典が何語で書か れていたのか など、大乗仏教成立を伝える資料はほとんどない。このため、見つかった写本は、初期の大乗仏教を考える貴重な資料で、仏教の伝播を研究する上でも重要とみ られている。

賢劫経の断片は、ノルウェーの収集家が他の多数の経典の断片(1万点以上)とともに保管。1990年代にバーミヤン遺跡の石窟寺院跡か ら出土、ロンドンの市場で売りに出され、この収集家が購入したという。

松田教授は「経典は日常的に読まれたり、写経されたりしていた。漢訳されている経典の中には原典がガンダーラ語ではないか、と想像して いたものも あったが、今回そのような例が初めて見つかった。成立当初からガンダーラ語で書かれた経典があった可能性があり、極めて重要な資料と思う」と話している。

成立の研究 進展期待

下田正弘・東京大学教授(インド哲学仏教学)の話 「大乗仏教経典の貴重な原典の写本で、これまで発見されたもののなかで最古に属する ものと考えて よい。大乗経典がいかなる言語、文化環境のもとで生み出されたかを示す重要な鍵になる可能性がある。現在残されている別本と比較をするなら、大乗経典の伝 播、変容の形態も明らかになるだろう。今後の調査、研究の進展を学界は待望している」

■ 大乗仏教の経典 1世紀に成立した般若経、維摩(ゆいま)経、法華経、華厳経など漢訳されている経典は約1200。しかし、ひとつの宗派が根拠する経 典は原則ひとつだけで、一般に知られていない経典がほとんど。当初は暗記で伝承され、文字化された後、書き加えられた経典もあるという。

ウェブサイト: http: //www.sankei.co.jp/culture/bunka/070113/bnk070113004.htm



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